『パンは呼んでいる』担当編集者の慶徳さんが急逝されました。
倒れる2日前にも、3日前にも6日前にも電話で話していたので(電話しまくり。)、突然のことに呆然としてしまいました。
電話では本当に本当に元気で、
仕事の話以外でも台湾のパンの事で大いに盛り上がったくらい。
最後は、「僕のラインが突然消えちゃったんです〜。何でもいいのでメッセージくれますか?」
「わかりましたー!」
と言って電話を切りました。
そのあとメッセージを送ったのですが既読にならず。
「復活しなかったのかぁ。週明けに連絡してみよう」とのんびり構えていたら
届いたのは訃報でした。
連絡を受けた時は嘘かと思い「あれ・・・?いま何年?慶徳さんって若いよね?今日ってエイプリルフールだったっけ?」とカレンダーを確認してしまったほど…。
“現実”が吹っ飛んでしまいました。
亡くなったと聞いて、ほとんど何も手につかず、身が入らず、大好きな音楽も何を聴いていいかわからず、ただ時間が過ぎてゆく日々を過ごしていました。
お世話になった人が急に亡くなってしまうという感情は計り知れないほど、寂しく悲しく残念です。
慶徳さんは、本作りに関してもとても協力的な編集者さんでした。常に取材に同行していただき、打ち合わせではパンがおいしい所を選び、パン好きならではのアドバイスもたくさんしてもらいました。私の描きたい事を汲んでくださり、表紙も私のイメージを実現できるようデザイナーさんと相談してくれていました。
私が旅行に行く際は、「スリランカのカレーパン食べて感想教えてください!」「キューバならキューバンサンドですよ!」とパン情報をくださり、台湾の時は「地震は大丈夫ですか?」と心配そうにラインを送ってくれました。
「岩田さんとやまもっさん(山本さん)絶対気が合いますよ〜」と仲良くさせていただいてる『I love coffee』の著者 岩田リョウコさんを紹介してくださったのも慶徳さんでした。
お酒が好きで仕事以外でも何人かで飲みに連れって行ってもらいました。その度にパン愛と競馬愛と家族愛と海外ドラマ好きを話してくだったキュートな面もありました。
手土産においしいパンを持って来てくれたことも。
慶徳さんとは1冊しか一緒に作っていませんが、もう5、6冊作ったんじゃないかな?
というほど…思い出すときりが無いほど、お世話になりました。
こんなに気遣いと優しさに溢れた編集さんは現れないんじゃ無いかなぁ、と思います。
嘘であってほしいな。電話したら出るんじゃないかな。そう思いながら向かったお葬式。
驚くほどたくさんの方が参列していて、慶徳さんの人望の厚さ、好奇心旺盛で好きな事に一生懸命な素晴らしい人柄を感じました。
編集担当してくださった『パンは呼んでいる』は慶徳さんのおかげでパン愛に溢れた良い本になったと思います。
「パート2も作りましょう!」とお話ししていたのですが、叶わなくなってしまいました。
葬儀で奥様もおっしゃっていましたが、
慶徳さんはいなくなっても携わった本は残ります。
たくさんの人に読んでもらえる本になるといいです。
天国で馬を追いかけながらおいしいパンを食べているといいなぁ。
いつか私がそちらに行く時は慶徳さんのお気に入りのパンを持って行きますね。
慶徳さん、本当にありがとうございました。
心の底から感謝しかないです。
慶徳さんがお気に入りだと言ってくれた
“ロールパン山本カット”(慶徳さん命名)